何を言っているんでしょう?


 アルカイダが日本を標的にテロを行う可能性があるというニュースが盛んに報道されています。今回はイギリスで発行されているサウジアラビア資本のアラブ紙への電子メールと言う形ということで真偽の程は分かりませんが、なんとも不気味な感じです。


 それに対して福田官房長官こんな発言をしています。何をのんきなことを言ってるんでしょうこのじいさんは…まさか、政府首脳たちは日本が自衛隊イラクに派遣しても日本がテロの標的になるなんてことはありえないと思っていたとか言うんじゃないでしょうね?それとも、日本国内でテロによる犠牲が出てもそれをしょうがないとか言うんでしょうか?
 先日のイタリア部隊に対するテロはもちろんのこと、つい先日はトルコのイスタンブールでのテロで23人もの犠牲者が出ています。先日の日記で派遣されて自衛隊員に犠牲が出た場合のコンセンサスさえ取れていないということを書きましたが、状況は変わって、アメリカに協力すればその国自体でテロが行われる可能性も高くなってきました。


 もう、これは全然対岸の火事なんていってられる状況じゃないんです。今年5月にはアルカイダとの関係が確認されている男が国内で逮捕されています。日本にもアルカイダの勢力は確実に潜伏していると考えた方がいいと思います。
 いまどき協力者さえいれば爆弾なんて言うものは国際郵便でも宅配サービスでも使っていくらでも送ることが出来ます。プラスチップ爆弾を何か他のものと偽って送ってしまえば自爆テロであれば複雑な時限装置などは必要ありません。テロを起こしたいところに協力者が行って自爆されてしまったら今の東京では防ぎ様がないでしょう。


 僕も東京で働いています。こんな状況で安易に対米協力だけを目的に自衛隊イラクに派遣することになって東京でテロが起きたらいったい政府はどの面下げて国民に説明するんでしょう?もしそんな事になって自分がテロに巻き込まれて、TVで小泉さんが「国際貢献のための犠牲が云々」なんていったら、残された家族はどう思うでしょう。
 最近の自爆テロはほとんどが要人や重要な施設を狙ったものではありません。そういった厳重な警備が行われているところではなく、単に標的となる国家の国民を殺すことだけを目的として行われます。インドネシアのディスコしかり、トルコの礼拝堂しかりです。日本だとどこが狙われるのか?日曜日の商業施設なんかが狙われた日には目も当てられない惨状になるのではないかと予想されます。


 もちろん、簡単に派遣を止めろって言う話をしているわけではありません。もちろん止めて欲しいですけど。派遣するなら派遣するで、ちゃんとした国民的議論か国民への説明を経た上でそれが支持されればやって欲しいというだけです。先般のイラク戦争開始時はイギリスでのブレア氏の徹底した国民への説明がとても印象的でした。今彼はそのときの嘘とも思われる情報操作が問題となって政権の危機を迎えていますが、日本政府はそれもせずに「戦場」に自衛隊を送り込もうとしています。しかもその派遣が日本国内にもテロの危険を生むかもしれないのにです。
 テロに屈しない国際政治は必要だと思います。しかし、テロに対して軍事力で押さえつけることが有効な手段だとは到底思えません。ためしに、イラク戦争前と後の1年間でテロの起こった回数を比べてみるといいと思います。あの戦争で減るどころかテロは増える一方です。


 中東をはじめとする国際的な政治や軍事衝突は非常に複雑で僕なんかの考えの遠く及ばないところでいろんなことが決まっているのかもしれません。しかし、それにしたって上のリンクのようなとぼけた発言をする人間に日本の安全を脅かすような決定をして欲しくはありません。
 官房長官一人が決めるわけではもちろんありませんが、彼は国会議員の一人です。自衛隊イラクは件関連のさまざまな法案に対しての投票権を持っているわけです。彼のような発言をする人物が賛成票を投じているかと思うとぞっとします。


 一国平和主義的といわれるかもしれませんが、僕はとにかく、自分と家族や身の回りの人間の安全を犠牲にしてまで世界平和に貢献するべきだとは思いません。なぜならそれは、次の戦争に結びついてしまうからです。犠牲者を出した国は当然その相手方に恨みを持つことになります。それの繰り返しではなくすべき戦争がなくならないからです。
 とにかく、こんな状況での自衛隊イラク派遣には僕は反対します。もちろん先の選挙でもそれは投票する際の選択の大事な用件の一つでした。先の選挙で自民党が勝ったということはその投票した人たちはイラク派遣に関しても信任したことになります。もしイラクは件が行われて、自衛隊員や日本国民に何かあったら、それは決定をした国会と自民党の責任であると同時にその自民党に投票した有権者の責任でもあります。


 日本人はもうちょっとまじめに政治を考えて、選挙に行かないといけないと思います。そうでないからこんなことを言う人がのうのうと官房長官をやっていられるわけです。
 なんか、福田氏への個人攻撃のようになってしまってこちらとしてもいやな感じですが、なんともいやな感じがする一連の出来事です。早くイラク問題が解決の方向に向かってくれることを祈ります。