ちょっと追加


 下のエントリで勘違いをしていました。コメント欄で指摘された通り「プロバイダ責任制限法」は2者間の利害調整に関して通信事業者の責任を制限する法律でした。つまり今回の「警察からの照会」は適応範囲外と言うことです。
 で、じゃあ今回の件はどのように法で規定されているのか、また山田@MN様によって指摘された「任意の程度」についてちょっと調べてみました。


 まず、「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」にうたわれている

事業者は、警察官、検察官、検察事務官国税職員、麻薬取締官弁護士会、裁判所等の法律上照会権限を有する者から照会を受けた場合、書面の呈示を求めるものとし、記載事項等を確認のうえ、照会に対して必要と認められる範囲内で協力することができる。

というのはどういうことなのか。
 これはまず、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン/解説の第4条の2の一の解説文によれば、刑事訴訟法・第2編 第一審第1章197条第2項を根拠とするようです。


 ここの解説を読むと以下のことが分かります。

  1. 裁判官の発付する令状による場合は開示の義務あり
  2. 法律上の照会権限を有する者(警察弁護士等)からの照会には基本的には開示の義務を負うが、「通信の秘密」に関するに付いては原則的に開示するのは適当ではない

ということで、今回のBeyond氏の件の場合は、開示された氏の個人情報が「通信の秘密」に当たるかどうかが焦点となります。
 で、それに関しては

個々の通信とは無関係の加入者の住所・氏名等は、「通信の秘密」の保護の対象外であるから、基本的に法律上の照会権限を有する者からの照会に応じることは可能である。もっとも、個々の通信と無関係かどうかは、照会の仕方によって変わってくる面があり、照会の過程でその対象が個々の通信に密接に関係することがうかがわれる場合には、通信の秘密として扱うのが適当である。

とされていて、言ってみれば「現場で判断してね」と言う状態です。このことに関してどういう判例があるのかまでは調べていません(^^;


 もし、はてな側が今回の件で特定の通信とBeyond氏の加入者情報が関係していないと判断したならば、警察からの照会に対してそれを開示することは法的にも、ビジネス上の判断としても僕は間違っていないと思います。
 っていうか、普通警察もそういう判断はしてから来るものですから、会社に「捜査関係事項照会依頼書」なんて物を持ってこられたら、そうそうそれを拒否できるものではありません。


 ただ、この辺はあまり詳しくないので間違っているとか、こういう判例があるとか言うことであればご教示していただけると幸いです。一応僕は自分で調べて考えた範囲では下のエントリと合わせてこう考えますよ、ということです。