はてなダイアリーでの動き


 僕もちらほら書いていますが、このところはてなダイアリー内で今回の自衛隊イラク派兵に対する意見を非常に多く見かけます。その中には感情論的なものもあり、非常に理路整然としたものもあり、立場も賛成反対さまざまです。
 「イラク」とか「自衛隊」とかのキーワードでいくらでも出てきます。僕のダイアリーはスタイルシートキーワードリンクの強調を切ってありますが、ちゃんとリンクされているのでご利用ください。


 なんと言うかですね、無責任というかのんきな言い方をすればこの状況はなかなかいいのではないかと思います。Web上の日記というかblogというかそういうスペースで、自衛隊派兵のような非常に政治的で重要なことが忌憚なく活発に議論される。こういうことって、これまで日本社会ではほとんどありえないことだったんじゃないでしょうか?
 その中にはかなり「う〜ん」とうならされるような意見もありますし、「ハッ!?」とさせられる視点でかかれたものもあります。また、まったく知らなかったようなことがかかれていて感心させられたりします。はてなダイアリーの中にはプロのライターさんとか物書きさん、大学の先生とかのダイアリーが結構あったりして、その辺の専門的な知識をもってかかれた物が結構あるって言うのも大きいと思います。


 アメリカでblogが注目されたのも実は911事件の直後でした。当時増え始めていたblogで911に関して忌憚のない議論がなされ、政府や大マスコミの論調ばかりがアメリカ人の考えではないことが非常に良く分かりました。
 日本でもそのころもあちらこちらで意見を述べている人はいたんでしょうけど、それをどんどん辿っていくようなことは結構難しかったんじゃないでしょうか?そういう意味で、簡単に書けてリンク張りとかコメントとか出どんどん有機的に議論が繋がっていくはてなダイアリーはこういった出来事に対する「議論の場」としては非常に有効に機能していると思います。


 ちなみに僕の立場を表明しておきますと、今回の自衛隊派遣には反対です。なぜならイラク復興支援特別措置法の第1章総則にある

この法律は、イラク特別事態(国際連合安全保障理事会決議第六百七十八号、第六百八十七号及び第千四百四十一号並びにこれらに関連する同理事会決議に基づき国際連合加盟国によりイラクに対して行われた武力行使並びにこれに引き続く事態をいう。

と言う部分に同意できないからです。
 今回のイラク戦争は、あくまでアメリカによるアメリカの国益のための戦争だと僕は思っています。開戦直前の安全保障理事会でも上の3つの決議に基づいてあの段階でのイラク攻撃は認められませんでした。結局アメリカとイギリスが見切り発車的に攻撃を開始したわけです。つまりこの法律はその「目的」の大前提からして間違っている法律であり、その法律に基づいて行われるイラク派兵は間違っていると考えます。


 ただし、自衛隊に関しては合憲の立場です。簡単にいえば憲法9条

Article 9.
Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.
In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.
 

日本国憲法 第2章 戦争の放棄
第9条【戦争の放棄,軍備及び交戦権の否認】
日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。

前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。

では、自衛権を行使するための軍事組織の非保持は歌われていないと考えるからです。
 「自衛権」というのは日本国憲法成立よりも後で出てきた概念だと思います。新しい概念が出てくれば、憲法といえどもそれに対応できるよう改正されるか新しく解釈されるのが当然です。僕は現行の条文のまままったく問題なく自衛力としての自衛隊は保持できると考えます。


 ただし、集団的自衛権の行使に関してはちょっと微妙だと思います。同盟国への攻撃に対して国外に出動して「自衛戦闘行為」を行うことが可能なのか?それは未だ判断できません。
 更にいえば、「自衛権に基づく先制攻撃」(いわゆるブッシュ・ドクトリン)が出来るかといえばこれは明確にNoだと思います。いくらなんでもこれは自衛権の範囲を逸脱している。そして、今のイラク戦争が(建前上)ブッシュ・ドクトリンに基づいて始められた戦争である以上、それの延長線上にある占領下のイラクでの軍事行動は認められないと考えます。イラク復興支援特別措置法において「安全確保支援活動」に規定されている輸送や整備や補給は明らかに軍事行動の一部であり認められないと考えます。これも僕が今回のイラクは兵に反対する理由の一つです。


 でも、法律はちょっとかじりましたが専門とはいいがたいので、解釈としては無理がある部分もあるかもしれません。でもあくまでも「僕はこう考えます」ということで、ここに表明しておきます。
 それと、「じゃあ、代替案はあるのか」と言う人がいると思いますが、僕は逆に「じゃあ、自衛隊を派兵する理由は何なの?」と聞きたいです。自衛隊は危険地に赴く組織としては確かに最適かもしれませんが、それでも恐らく犠牲者は出るでしょう。であれば、文民をや民間人派遣しても状況は同じです。今の自衛隊が派兵されて犠牲者が出なければ、文民や民間人を派遣しても犠牲者は出ないでしょう。


 本当に今回の自衛隊イラク派兵は「アメリカに旗を振っているところを見せる」以外の効果はないと思います。僕は自衛隊イラク派兵に反対します。